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 21世紀ミュージアム・サミット(2005年度)
 
 第2回 21世紀ミュージアム・サミット ―21世紀、美術館は生き残れるか


ねらい
 人類文化遺産の殿堂とされてきた「ミュージアム」は、21世紀を迎えて、世界各地で激しい嵐に見舞われている。採算性の向上、地域社会との調和、次世代教育への、保存・調査機能の充実、アートの変貌、グローバリゼーションの進展、さらには文化遺産に対する暴力行為や自然災害への対策など、かつてなかったほど多面的な挑戦と要請を受けている。

 これに対しミュージアムはそれぞれ、こうした環境のなかで知恵を絞り、その存続のみならず、休むことのない発展をも目指している。2004年に、欧米の主要美術館長と、日本の主要美術館長、美術行政担当者、研究者、ジャーナリストらを集めて開いた「第1回ミュージアム・サミット―文化の継承と創造―」の、極めて啓蒙的な成果をふまえ、かながわ学術研究交流財団と日本経済新聞社は、蓑豊・金沢21世紀美術館長の総監修のもと、2006年1月に、再度欧米の主要館長を招聘して第2回サミットを開催する。世界各地の美術館が今直面する課題を語り合い、情報を共有し、ともに未来を切り開く道を探りたい。


開催日2006年1月28日(土)〜29日(日)
場 所湘南国際村センター 国際会議場
共 催日本経済新聞社
助 成独立行政法人国際交流基金
後 援文化庁
協 賛サントリー、資生堂、損保ジャパン、東芝国際交流財団、
トヨタ自動車、日本写真印刷、三井物産
協 力日本航空
参加者74名
セミナー風景


概要

 この事業は、2004年3月に日本経済新聞社、国際交流基金、当財団の 主催で開催した「第1回21世紀ミュージアム・サミット」の成果を踏まえ、欧米の主要 なミュージアムの館長を招聘し、ミュージアムの課題と展望について更に議論を深める目的で開催されました。

 当サミットは二部構成であり、第1部は日経ホール(東京都・大手町)において公開シン ポジウム形式で招聘欧米館長のパネルディスカッションが展開されました。かながわ円卓 フォーラムは第2部にあたり、円卓会議形式で行われました。蓑豊金沢21世紀美術館長、大阪市立美術館長を総監修・議長に迎え、欧米館長と議長の基調講演、および国内有識者14 名を交えての討議が行われました。

参加者
総監修・議長
  蓑豊/金沢21世紀美術館長、大阪市立美術館長 

基調講演者
  マーク・ジョーンズ/ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館長(イギリス)
  アルフレッド・パックマン/ポンピドゥー・センター国立近代美術館長(フランス)
  ニール・べネズラ/サンフランシスコ近代美術館長(アメリカ)
  ラース・ニッティヴ/ストックホルム国立近代美術館長(スウェーデン)

◆ 討議者

  高階秀爾/大原美術館長、西洋美術振興財団理事長
  福武總一郎/ベネッセコーポレーション代表取締役会長兼CEO
  植木浩/ポーラ美術館長・元文化庁長官
  岡部あおみ/武蔵野美術大学造形学部教授
  酒井忠康/世田谷美術館長
  堤清二/セゾン文化財団理事長
  野崎弘/東京国立博物館長
  原俊夫/原美術館長、
  森佳子/森美術館理事長
  妹島和世/建築家
  西澤潤一/首都大学東京学長
  永井多恵子/日本放送協会副会長
  竹田博志/日本経済新聞社編集局文化部編集委員
  福原義春/かながわ学術研究交流財団理事長・東京都写真美術館長・資生名誉会長
   (敬称略。また、肩書きは2006年1月当時のもの)

詳細
◆セッション1:「21世紀の美術館はどうあるべきか」
基調講演「21世紀のミュージアム:拝むところか?宝の山か?」
基調講演者:マーク・ジョーンズ/ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館長

 ジョーンズ氏は、ミュージアムの建物は、実用的な目的以外に、誇示するための建物として、 建物自体が勢力を主張するものとして存在していること、コレクションに関してミュージアムが 慎重であることの重要性を述べるとともに、ミュージアムの在り方とその機能について問題提起し、 各国のミュージアム建設ラッシュの中で、ミュージアムの価値を高く位置付けていくことの意義を促しました。

◆セッション2:「学芸員は何をすべきか」
基調講演「収集することと見せること ミュージアムの役割とは?」
基調講演者:アルフレッド・パックマン/ポンピドゥー・センター国立近代美術館長

  パックマン氏は、ポンピドゥー・センター国立近代美術館で行った「ビッグ・バン −20世紀美 術における創造と破壊」展について紹介しました。美術の既存のカテゴリーを取り払い、時代系列 でなく、戦争、破壊、哀愁などのテーマのもとで、異なる年代の絵画、建築、デザインなどの多彩 な作品を展示するというもので、氏は、美術館は新しい作品を取り上げる一方で、長く収蔵庫に眠っ ていた作品も展示構成に生かし、オープンな視点で市民に見せていく責任があると述べました。

◆セッション3:「生活と美術館」
基調講演「現代アート、観客、そして新たな技術」
基調講演者:ニール・ベネズラ/サンフランシスコ近代美術館長

  べネズラ氏は、いかに若い年齢層の人たちを美術館にひきつけられるかが重要であると、館長を務めるサ ンフランシスコ近代美術館におけるホームページの充実や、ビデオの展示解説への利用など、ITを使った事例 を説明しました。中でも有効な試みとして、ポッド・キャスティング(「iPod」などにインターネットラジオ を自動録音して、収集された放送を好きなときに聴取するシステム)による同館の紹介や、アーティストインタビ ュー、特別展の紹介などを配信していることを挙げました。

◆セッション4:「人間形成と美術館」
基調講演「構築か?再構築か? 芸術と人間形成についての考察と事例」
基調講演者:ラース・ニッティヴ/ストックホルム国立近代美術館長

  ニッティヴ氏は、ストックホルム国立近代美術館がティーンエイジャーを対象に行っている「ゾーン・モダー ナ」という芸術教育プログラムについて紹介しました。これは、氏のイニシアティヴで始まり、学校や生活環境 などの異なる高校生が約20人1チームで創作活動を行うものであり、アートを通じて参加の高校生たちに元気を 与え、新たな友人関係を生み出し、興味の対象を広げる契機になるという成果を生み出しているとのことでした。

◆セッション5:「次世代の豊かな人材をはぐくむために」
基調講演「私の挑戦」
基調講演者:蓑 豊/金沢21世紀美術館長、大阪市立美術館長

  議長の蓑氏は、オープンから1年間で予定をはるかに上回る157万人が訪れた金沢21世紀美術館の成功について、入館 料不要なフリーゾーンや体験型アートの設置、オープン時の市内の小中学生無料招待、「もう一回券」の配布などの同館 の具体的試みを示して講演しました。蓑氏は、美術館は建築、美術作品、陳列や解説方法、設備、スタッフ、観客、環 境などの要素が交じり合い、お互いに作用する場であり、地域との連携とアートを通じての子供たちへの教育の重要性 を強調しました。

◆総括討議
議長:蓑 豊/金沢21世紀美術館長、大阪市立美術館長

  討議者の福武氏より、越後妻有アートトリエンナーレの紹介がありました。地域に密接して活躍する金沢21世紀美術館と 越後妻有アートトリエンナーレという二つの事例を受けて、総括討議の中では、アートとコミュニティの密接な関係、そ れによる経済波及効果の重要性が共通認識として確認されました。また、美術館がすぐれた作品を次世代に伝えていく 役割を担い、長期的視野を持って文化の継承を考えていく必要性、青少年への教育活動と共に、若い芸術家を育てること も課題であるとの意見が出されました。更に、館長のリーダーシップ、学芸員の役割についても重要性が指摘されました。 各館がそれぞれの個性を生かし、今後もこのような話し合いの場を設けて議論を深めつつ努力していくことが、これからの ミュージアムの発展に不可欠であると確認されて、討議は締めくくられました。


第1回、第2回ミュージアム・サミットの内容は、慶應義塾大学出版会『ミュージアム・パワー』に収録されています。ぜひご一読ください。

反響
『日本経済新聞』(朝刊)2006年2月25日
『公明新聞』(日曜版)2006年2月26日
『日本経済新聞』(夕刊)2006年2月28日

(関連記事)
『日本経済新聞』(朝刊)2006年2月11日
『日本経済新聞』(夕刊)2006年2月13日

【雑誌】
『月刊ミュゼ』2006年3月-4月号、6頁。
『美術の窓』2006年4月号、158-161頁。
『遠近』No.15、2007年2月-3月号、38-43頁。
『電通報』2007年8月6日、8面。



 
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